建陽大学医療人工知能学科:高性能クラウドサーバインフラの活用

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一言話しかけるだけで曲を流してくれる人工知能スピーカー、
テキストを声に変えてくれる人工知能ダビング、
世界の囲碁チャンピオンに勝ったAIプログラムまで。
(アルファ碁ちゃん…元気でやってる…?)

私たちがこれまで見てきた、そして現在見ている人工知能の姿です。短ければ10年後、長ければ100年後の世界を大きく変える技術として挙げられる「人工知能(AI)」。医療分野のAI技術を研究し、地域社会と共に成長する建陽大学の医療人工知能学科を訪ねました。

NAVERクラウドの顧客でもある建陽大学の医療人工知能学科。どんな研究をして、地域社会の発展のためにどんな努力を傾けているのでしょうか。

建陽大学の医療人工知能学科を訪ねる。

[インタビュー] 建陽大学医療AI学科 キム・ウンシク教

 

Q1: 建陽大学について紹介してください。 

建陽大学は、「学生中心の教育」と「責任教育」を最高価値として実践する大学です。1991年に開学した建陽大学は「真の人徳を備えたクリエイティブな人材の育成」を建学理念とし、「一度教えたら最後まで責任を取る」という設立者のキム・ヒス博士の精神に基づき、「学生中心の教育」と「責任教育」を最高価値として実践してきました。

大学教育の競争力と質を高めるため、「産業連携教育活性化先導大学(PRIME)」、「教育の質の高い大学(ACE)」、「CK(university for Creative Korea)」事業など数多くの主要国策事業に取り組み、その結果、5年連続で就職率トップ5、韓国大学初となる世界3大デザインコンテストにて主要賞受賞、Apple Distinguished Schoolなどに選定されるといった成果を出してきました。

また、「生命工学先端研究団地 & 産学融合事業」により特性化キャンパスを運営し、実用的な「創意」・「融合」教育に基づいて優秀な人材を育成し、地域発展に必要な原動力を提供してきました。大田(テジョン)メディカルキャンパスは建陽大学病院と連携した大規模な研究センターの構築による先端医療融合技術研究団地であり、論山(ノンサン)創意融合キャンパスは国防及び軍事関連産業に基づいて地域産業を先導し、Active learningをリードする産学融合キャンパスとして成長・発展しつつあります。

 

Q2: 医療人工知能学科と産学協力団について紹介してください。

韓国教育部が選定した最先端学科として輝かしい医療人工知能学科は、AI技術を迅速に開発・商用化し、AI先導国として跳躍するための優秀人材の育成を目指しています。そのため、様々なAI技術を学んで自然言語処理、画像分析、自律走行、チャットボットなど多くの分野に応用できるAI開発能力を強化することに重点を置いています。特に、医科大学内の情報医学教室の医科大学院生は、大学病院の研究陣と共に医療AI分野のプロジェクトを進めており、共同研究を行っています。

建陽大学の産学協力団は2004年の立ち上げられて以来、建陽大学の2大キャンパス(大田メディカルキャンパス、論山創意融合キャンパス)の特性を活かす戦略を基に、融合型実用人材の育成に向けて現場中心の特色ある教育やクリエイティブな研究拡大に尽力してきました。優秀な研究人材を活用した技術開発や体系的な研究支援、技術の事業化に邁進して卓越した研究成果の拡大モデルを先導し、地域の企業に総合コンサルティングサービスを提供する専門メンターの役割を担い、企業の競争力確保をサポートしています。これにより大学の研究力強化や特性化に寄与するだけでなく、技術開発や事業化支援に至る多角的な支援を通じて地域社会の発展に大きく貢献しました。

 また、産学協力の体系化に向け舒川(ソチョン)、唐津(タンジン)、公州(コンジュ)など8か所に地域産学協力センターを運営し、自治体に合わせて産学協力を先導しており、産業別に特化した支援組織としてBIZ-HUBを運営しています。大学の起業教育と支援のための起業保育センターを運営しているほか、韓山(ハンサん)からむし織、忠清南道のブランド酒事業団など地域産業をサポートしています。また、製造・研究の基盤施設が十分整っていない中小企業を支援するための中小企業産学協力センターと共同活用設備センター、産業デザインセンター、技術事業化センターを運営しています。

 

Q3: NAVERクラウドとの協力も活発に行っているとのことですが、内容を簡単に紹介してください。

医療人工知能学科で授業を行うには、大容量データを処理できる高性能なサーバリソースが必要です。ここで必要なGPUサーバリソースに関連する技術支援をNAVERクラウドから提供していただいています。去年は新型コロナウイルスによる非対面授業の拡大で、2,000以上のオンライン講座に円滑に対応するため、LMS(受講管理システム)をNAVERクラウドプラットフォームベースで構築しました。変化に対して柔軟に対応できない既存の物理電算資源の代わりにクラウドを活用中というわけです。NAVERクラウドプラットフォームがLMSシステムの構築でインフラの役割を担ってくれました。

 

​Q4: NAVERクラウドを選択した理由とメリットについて教えてください。

多くの大学とのクラウドインフラ構築やコンサルティングをされた経験が大きく作用しました。トラフィック変化への対応のコツや状況別の所要費用など、大学の必要事項や疑問を正確に理解し、ソリューションを提示してくれました。また、NAVERクラウドは韓国国内にデータセンターがあるため、データの主権を守りながら研究を行うことができ、必要なインフラリソースを安全かつ迅速に利用できるところがメリットといえます。 アカデミック支援プログラムの「グリーンルーキー(Green Rookie)」プログラムも大学にとって非常に有益ですが、先日締結した業務協力(MOU)によって提携の特典を提供して頂いています。

 

Q5: 「グリーンルーキー(Green Rookie)」プログラムの特典は何ですか?

建陽大学の在学生と教職員に、NAVERクラウドプラットフォームサービスを無料で使用できるクレジット、技術資格証の受験料クーポン、クラウドコンピューティング関連のオンライン・オフライン教育プログラムが提供されます。特に建陽大学のメールアドレスさえ持っていれば、クレジットが支給されてクラウドインフラリソースを気軽に活用できますが、学生や教職員にとってこれ以上の特典はありません。

 

Q6: 昨年9月には医療人工知能学習モデル開発ハッカソン(Korea Health Datathon)を主管されましたが、結果はどうでしたか?

そうですね。昨年9月21日から5日間、NAVERクラウド主催、建陽大学病院と国立がんセンター、建陽大学医療人工知能学科の主管により、オンライン「第2回コリアヘルスデータソン(Korea Health Datathon)」が開催されました。韓国で初めて実際の医療データを活用して、疾病診断プログラムを開発するコンテストでした。この大会は、韓国知能情報社会振興院による「2020人工知能学習用データ構築事業」の成果として構築された学習用データの活用に向け、医療映像とコホートデータを活用して実際に実装できる人工知能学習モデルを企画・開発するために設けられました。

ソフトウェア開発者、大学生、サラリーマンなど様々な職種から全50チーム(160人余り)が本選に参加し、副鼻腔炎乳がん疾患をテーマに2つのグループに分かれて、AI技術を融合したモデル開発を行いました。副鼻腔炎では「ホンカムラ」チームが、乳がんでは「CNUCV」チームがデータソン大会で優勝しました。実際の患者の医療データとAIディープラーニング技法を活用して、疾病を見つけ出すプログラムを開発する大会であるだけに非常に有益で意味ある大会であったと、参加者から多くの好評をいただきました。

 

Q7: 今後の医療AI関連産業や研究方向について、建陽大学の展望をお聞かせください。

治療中心から予防中心への次世代医療環境のパラダイム変化を、既存の医療技術や工学技術で実現するには現実的な限界があります。そのため、「AIの応用」という新しいチャレンジを進めています。

医科大学の情報医学教室や大学病院の医療情報室、ヘルスケアデータサイエンスセンターなどの病院と協力関係にあるSELVAS AI Inc.、VUNO Inc.、Lunit Inc.など様々なAI会社と協力し、大学病院やAI関連産業体がテーマを提案できるシステムを構築しました。これにより大学病院や企業メンターが参加して、地域内における関連分野の研究所や企業との緊密な協力を通じてプロジェクトを進め、AI専門能力を備えた、医療分野に特化したAI人材を育成する計画です。

 

Q8: 産学協力という面からNAVERクラウドをはじめとする企業に期待する点は何でしょうか。

 人工知能技術が急速に発達し様々な分野に応用されている状況で、自然言語処理、自律走行、チャットボットなど一般人にとっても馴染み深い分野の技術も速いテンポで適用されつつあります。その中でも価値と専門性の高い医療分野で迅速な技術開発が行われ、新しい産業が出現しています。

ところが、韓国の人工知能人材は絶対的に不足しており、短期間でに人工知能専門能力を備えた、医療分野に特化した人工知能人材を養成するためには、医学・産業・学界の協力体制の構築が何よりも求められています。特に、医療分野に特化した開発環境構築のための医療人工知能Primitive serviceの開発が欠かせません。Cloud環境で医療人工知能に必要なPrimitive Serviceを活用すると、専攻実習の実務環境と同じ開発環境を経験できるからです。この過程でNAVERクラウドとの長期的な協力も期待しています。

 

インタビューを終えて NAVERクラウドチームの感想

昨年の「医療データハッカソン」イベント開催当時、NAVERクラウドも共同主催として一緒にPR・運営させていただいたことを覚えています。50ものチームが繰り広げた熱い競い合いに高性能クラウドGPUサーバを提供できて、非常にうれしかったです!

今回のインタビューを通じて「AI技術が医療に適用されれば、私たちの暮らしはもっと良くなるだろう」と漠然と想像していたことが現実のものになりつつあることを実感しました。地域内8か所の地域産学協力センターを運営し、医療・産業・学界が様々な協業を展開しているという点も印象深かったです。技術や産業の発展は、独りではなくみんなが一緒になって努力するからこそ成り立つということも改めて実感しました。

AI技術の研究、そして地域社会と共同成長に向けて、今日も尽力している建陽大学。たくさんのご声援を送ってください。医療人工学科と産学協力団との積極的な協力を期待しています。

 

 

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